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学級経営の系統指導



神奈川県公立小学校教諭 布富翔大先生に学級経営の系統指導についてお話を聞きました。



1.「系統性」って?

「系統性」という言葉を聞くと、先生である皆さんは、何を思い浮かべますか?


おそらく、国語や算数などの教科指導を思い浮かべたのではないでしょうか。

教科指導における系統性、とても大切ですよね。


系統性とは、いわゆるつながりのこと。

教科で言えば、いわば学習のつながり。

2年生の四角形と三角形が、3年生の三角形、4年生の四角形、さらには5年生の多角形につながる。


前学年の学習が、今の学習につながり、活用される。

今の学習が、この後の学習につながり、活用されていく。

系統性を知らずして、教科指導は上達しないと私は考えています。


そんな系統性。

教科指導だけではなく、「学級経営」にもあるのではないでしょうか。

1人で35人を束ねることが当たり前となっている、今日の学級経営。

一人一人が、安心して、居心地良く、個性を発揮できる学級経営。

そんな豊かな学級を作ろうと、日々考え、子どもたちと向き合っていることと思います。



2.学校現場の不易と流行

一方で、現実問題として、教員の絶対数の減少、学校業務の多忙、そして学校が抱える対応数の多さにより、現場は疲弊。学級の存続すら難しくなっている現状もあります。


個性がなんとか、とか言っている場合ではなく、安心安全な環境を保持するだけで精一杯の学校も多くあることには、目を背けてはならないのです。


だからこそ、「チーム学校」。

1人の先生が35人を見るのではなく、複数の先生で学年の子たちを見ていこう。

さらには、学校職員全員で、学校の児童全員を見ていこう。

そんな意識改革が、ここ数年、行われてきています。


とはいえ、教員数や指導力では補えない「変数」による、影響は様々にあります。

子どもたち同士の関係、保護者との関係、その年ならではの環境、教員間の体制など、先生1人の力ではどうにもならず、学級の統率に大きな影響を与え、学級集団、学年集団が、いとも簡単に崩れていくことも十分にある昨今です。

あのベテランの先生の学級が・・・、そんなことは珍しくないのです。


だからこそ、学級経営にあたっては、「不易の指導」が必要と考えています。

世の中には、もの新しい学級経営術、子どもとの関わり術が溢れています。

目新しい取り組みに興味を持つことはいいかもしれませんが、安易に手を出すのではなく、その裏に隠された理念や意図をきちんと知り、実践することが不可欠です。

そして、「学級経営」という天井知らずの理想を語る前に、きちんと地に足をつけた指導が必要ではないかとつくづく思うわけです。


では、不易の指導とは、何か。

それは、「律」の指導です。

「律」とは、「物事を行う基準となるおきて」のことで、学級に属する全ての子どもたちが、集団生活の中で、一定の安心・安全を整えながら、心地よく過ごしていくために、必要な善悪の基準です。

人が嫌がることをしちゃダメだよね、時間に間に合うように行動しないといけないね、

など集団で生活するには、様々なおきてが存在します。その「おきて」を、どのように扱っていくかが、地に足をつけた学級経営の分かれ道になるのです。



3.3つの「律」段階と系統指導

では、少し具体的な話をしましょう。

集団の形成には、大きく3つの「律」段階があると言われています。


善悪の判断基準を、他者に求めて行動する「他律期」

この段階では、誰かの存在によって、自分を律しています。

「先生に怒られるから」「注意されるから」などと物事の本質を考えずに、本能的に行動を制御したり改めたりする段階です。

いわゆる、「怖い先生」の言うことは聞くということです。

このままでは、「その人」がいなくなれば、元通り。

健全な集団形成には、きちんと物事の本質を理解をさせる必要があります。


そこから一歩踏み出したのが、善悪の判断基準をルールなどの規則に求めて行動しようとする「規律期」

他者の存在で自分を律するのではなく、規則によって自分を律することができる段階です。いわば、「あの人」がいなくても、ルールに沿って行動を判断します。

学校のルール、学級のルールなど、行動規範としてあるものに従って行動できるのです。

他律期では、「あの人」がいなければ律することができなかったものが、規則という基準にそって律することができる段階となるのです。


そんな段階を越えてくると、善悪の判断基準を自分に求めて行動できるようになる「自律期」が待っています。他者の存在や規則の有無に関わらず、物事の本質を考えて、自らより良い判断をできるようになります。規則のある意味を理解しながら、規則がなくても自らの判断で行動していきます。


これらの3つの段階があることを理解し、学級経営の計画上に位置付けながら、指導していくことで、系統的に集団形成をしていくことができるのです。



1年間を例にするならば、


1学期は、教師との関係を紡ぎながら、教師の指示にきちんと従い、言われたことを正しくできるようになる段階。教師は、誰にでも分かりやすく、指示を「具体的に、何度も」伝え、できたことを確実に認めます。出した指示に対して、正しくできた子を認めながら、課題のある子にフォローを加えていくのです。

「先生の言ったことを、きちんと守っていけば、ちゃんと認めてくれる」

そんな前向きな態度を興し、教師との縦糸を紡ぎ、支持的な風土を作っていきます。


しかし、いつまでも、「教師の言うことに従う」では、自律的な行動は増えません。

いわば、「指示待ち」になり、「言われなければやらない」「言われてないから、やらない」と言った他責状態に陥りかねません。

だからこそ、その学級のおきてとして、いくつかのシステムやルールを確認しながら、

2学期は、教師の指示がなくても行動できるように育てていくことが大切です。

例えば、「そうじの仕方」「給食当番の流れ」「朝の会の進行」「授業前の準備」「授業あいさつの仕方」「忘れ物をした時の約束」「提出物の出し方」など、生活していく上での流れを、言われなくても動けるように、丁寧に教えたり共通確認をしたりします。


これを怠ると、それぞれの価値観の衝突ばかりになり、良かれと思ってやったことにも関わらず子ども同士のトラブルに発展していきます。もちろん、そんな価値観の衝突を見据えて、どんと構えてフォローできるのならば、意図的にそのような場面が生まれるよう、見守っていけば良いのですが、大抵夏休み明けのこの時期は、教師も子どもも緩み始め、子どもたちも我を通したり無理な要求をしたりと、行動や言動が大胆になります。

そのような時期を、安易に子どもたちの「自主性」に任せると、一気に衝突が頻発し、収拾がつかなくなっていきます。一人一人、家庭環境や経験は様々なので、価値観は異なります。そんな価値観をまずは認めつつも、「この学級(学年)ではこうしていこうね」と納得感をもってシステムやルールにしていくことができれば、安心感をもった生活に繋がっていきます。「自主性」と言う名の放任にならないよう気をつけながら、子どもの思いを受け止め、システムとして整理することが、この時期に必要な指導です。

教師の指示ではなく、自分たちでつくってきた「規則」をもとに生活する習慣がついて来ることで、教師いらずの自律的な集団に繋がっていきます。


そんな規律期を越えてきた子たちは、もう毎日の生活がルーティン化されています。

朝来たらすること、授業でのやくそく、当番の仕事とタイミングなど、教師の指示がほとんどなくても、自分たちだけで1日を回せるようになっていきます。

ここからが、「自律期」への突入です。

これまでシステムやルール化していたものを、少しずつ剥がしていきます。

当番の仕事を無くしたり、役割をあえて粗くしたり、台本を無くしたり、システムやルールに頼ることなく、子どもたちの素の力で過ごさせていくのです。

規則という安心感の中で生活してきた子どもたちからすると、あえて無くすことで、不安を覚える子たちもいますが、これまでの習慣と安心できる土壌があれば、意外とすんなりできるものです。例えば、生活当番を無くし、一人一人が必要だと思ったことを、自分の意志で自由に取り組む。そんな環境下では、子どもたちのクリエイティブで、思いやりのある姿がより多く見られ、心の底から感動することが増えてきます。

もはや、教師の指示どころか、規則すらいらず、「生活をよりよくしたい」「みんなのために」という思いから、一人一人がより主体的に行動できるようになっていくのです。

高学年になれば、教師が1日の中で、一つも指示を出さずに生活していく姿もあります。

自らでよりよい判断をし、行動に移していく段階になっていくのです。


このように、「自律的な集団づくり」には、集団形成の過程をふまえて、段階的に指導を積み重ねていくことが求められるのです。このようなサイクルを意識して、教員それぞれが1年間の経営方針を組んでいくことが大切ではないでしょうか。


さらに、このサイクルは、小学校6年間にも当てはまっていきます。低学年を「他律期」、中学年を「規律期」、高学年を「自律期」として見通せば、1年間の小さなサイクルの積み重ねを通して、小学校6年間の集団づくりをしていくことになります。

これが、学級経営の「系統性」といえるのではないでしょうか。




4.おわりに

いまや、教員の絶対数が足りない中、新卒の先生がいきなり担任を持つことも少なくありません。中堅層と言われる代が、一昔前のベテランの業務を持つ時代になっています。

これまでよりも、少ない人数で現場を回していかなければならない中では、教師集団がある程度の指標を持ちながら、自分の担当学年で果たすべき役割を理解し、集団づくりをしていくことが求められているのではないでしょうか。

本当の意味での「チーム学校」には、学級経営の系統性は必要不可欠といえるでしょう。



神奈川県公立小学校教諭  Futomi Shota




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